PANTHER CAROSO
黒い薔薇を紋章に掲げる伊達男の傭兵パイロット。歯の浮く口説き文句と超一流の操縦技術を併せ持ち、負傷離脱したアンドリューの「代役」からそのまま隊に居着いた。
人物 ─ PROFILE
敵として会ったのが惜しい男だ。もっとも、友として会っても口説かれる以外に用がない― 交戦したCDFパイロットの報告書より
パンサー・カルロッソはスターウルフに臨時構成員として在籍する傭兵パイロットである。芝居がかった口上と情熱的な口説き文句で知られる筋金入りの伊達男だが、その操縦の腕はウルフ・オドネルが直々に代役へ指名したという事実が示すとおり超一流である。
スターウルフの中では珍しく、冷酷さや残忍さに関する報告がほとんど存在しない。敵であるスターフォックスの技量を交戦中の通信で堂々と賞賛し撃墜した相手の脱出ポッドを見逃すといった行動が繰り返し確認されており、分析官の間では「あの部隊で一番まともで、一番調子の狂う男」と評されている。
どれほど親しくなろうと自身のことは一切語らず、CDFの身辺調査をもってしても素性の手掛かり一つ見つからない。その徹底ぶりからCDFはこの男を、ある意味でスターウルフ最大の脅威の可能性を秘めた人物と位置付けている。
前半生 ─ EARLY LIFE
パンサー・カルロッソの経歴と前半生を知る者はほとんどいない。平和の裏で繰り広げられた独立星系連合残党との戦いの中で、社会の表からは見えない闇に生まれた人物とみられ、レオン と同じく陰に生きる者の一人である。
名前すら本名か怪しい。姿形が定期的に変わるレオンと同様に彼もあらゆる場所で別の名前と身分を使い分けており、どれが本名かはもはや知る由もない。「カルロッソ」の名も星系のどの出生記録とも一致しないままである。
素顔 ─ TWO FACES
陽気で人当たりの良い性格から、初見で彼がヒットマンや傭兵の類だと窺い知れる者は少ない。潜伏先では配達員や料理人など様々な職業をそつなくこなして潜んでいることが多く、周囲の誰もマイナスの感情を抱かない好青年である。
だが本来の仕事となれば一切の容赦はしない。表の顔を知る者ほどその変わりように慄くと言われる所以である。民間人や捕虜への加害記録が皆無である一方、自身の忠告を何度も無視して攻勢を続ける者や標的となった対象への対応は180度変わるという。
流儀の一つ「女性は攻撃しない」や口説き文句の数々の由来には諸説あるが、おそらくは彼の人生の根幹に紐づく経験から来ているものと推測される。無類のタラシとしても有名であり、キザな言葉遣いと人懐っこい振る舞いも相まって帝国内での女性人気は常にトップに君臨しているらしい。ただし彼が誰かと交際していたという報告は今日まで一度も上がっていない。
経歴 ─ BIOGRAPHY
確かなのはスターウルフ加入以前から愛機ブラック・ローズを駆るフリーランスの傭兵として活動し、その界隈では既に名を知られていたことだけである。帝国の軍事訓練でアンドリュー・オイッコニーが全治3か月の重傷を負った際、ウルフの指名により代役として編入された。契約期間はとうに満了しているが、本人は「薔薇は咲きたい場所で咲くものさ」と言って居座り続けており、隊も帝国軍もなし崩しに受け入れている。
隊では誰かが戦闘不能になった際に入る欠員補充に徹しているが、その実力はアンドリューをはるかに上回る強豪である。腕を隠すつもりもなく前へ出るつもりもない。この立ち位置の意味を測りかねているのは敵味方どちらも同じである。
戦歴・記録 ─ SERVICE
アンドリュー離脱期間中のスターウルフ全交戦記録に参加している。速射の腕は星系でも指折りとされ、照準補正を一切持たない機体から浴びせられる連続射撃は前線のパイロットから「花吹雪」と渾名されている。離脱時には「挨拶」として薔薇のホログラムを一輪残していくことが複数の交戦報告で確認されている。
一方で民間人や捕虜への加害記録は現在まで一件も存在しない。女性士官の搭乗機への攻撃をためらう傾向まで報告されており、戦術資料には「隊で最も御しやすく、最も読めない」という矛盾した所見が併記されている。
距離 ─ THE DISTANCE
搭乗機がウルフェンでなく専用カスタム機ブラック・ローズである点も含め、彼は誰とでも仲良くするように見えてその実誰も信用していないのではないかと分析されている。メンバーの誰とも良好な関係を築きながら、自室の位置はおろか戦闘記録すら共有しない態度はたびたび注意の対象となっており、ウルフがよく指摘している。
何を言われてもペースを崩さない男が唯一許せないのが、過去を詮索されることである。過去を調べようとした帝国情報部の所属員を許可なく葬り、一度は軍法会議にかけられかけた。この件はピグマ の弁明で事なきを得たが、以降帝国で彼を深く詮索する者は誰一人いなくなったようである。
記録余話 ─ ARCHIVES
名乗りの口上「俺の薔薇を見た者は死ぬ」は敵味方を問わず前線で有名で、若い兵士が真似をしては上官に叱られている。なお隊内ではレオンが一度だけ「では、今まで君の薔薇を見て生きている私は何なのかね」と返し、パンサーが3日ほど沈黙したという傍受記録が残る。
カタリナ基地防衛隊の某軍曹の速射が「パンサー並み」と評された件が本人の耳に入った際は、「光栄だが、俺のほうが華がある」とコメントしたと伝えられる。真偽は不明である。