BULLFROG
スリッピー・トードがブルーマリンの後継として開発中の全領域対応戦闘機。大気圏・宇宙・水中を持ち替えなしで戦う「絶対に落ちない機体」の計画である。
| DESIGNATION | BULLFROG / ブルフロッグ |
| CLASS | 全領域対応戦闘機(計画・単座) |
| DESIGNER | S・トード個人設計 / スペース・ダイナミクス社非公式協力 |
| PREDECESSOR | ブルーマリン / アーウィン(技術系譜) |
| DOMAIN | 大気圏内 / 宇宙空間 / 水中 — 三領域 |
| ARMAMENT | 高出力プラズマ砲(照準補正なし)/ スマートボム×3(全領域起爆規格) |
| DEFENSE | 重装デフレクターシールド / 三重耐圧隔壁 |
| STATUS | 開発中 — 図面・試作部品・原寸モックアップ |
| COMPLETION | 「あと5分」(設計者談) |
次のは全部直すから、覚悟しててよね!-S・トード 開発ノート表紙の走り書きより-
概要 ─ OVERVIEW
言っとくが樽だからな、あれは。……まあ、沈まない樽ってことは認めてやるけどよ…― F・ランバルディ モックアップ見学時の談話より
ブルフロッグ(Bullfrog)は、スリッピー・トード が小型戦闘潜航艇ブルーマリン の後継として開発を進める全領域対応戦闘機の計画名である。大気圏内・宇宙・水中の三領域を持ち替えなしで戦い抜くことを目標に掲げており完成すれば星系初の真の万能戦闘機となる。
本記録は設計メモ・試作部品・原寸モックアップから構成される計画段階のファイルであり、性能値はすべて設計者の申告に基づく推定である。申告者の実績を踏まえ本データベースは推定値をそのまま掲載する方針を採った。
設計思想 ─ CONCEPT
出発点はブルーマリンへの三つの不満である。「水中でしか使えない」「水域まで母艦で運ばねばならない」「乗り換えのたびに隊列から戦闘機が一機消える」ブルフロッグはその全ての逆を張った。どこへでも自力で行き、どこでも戦い、誰の手も借りないのである。
そしてもう一つの出発点が僚機たちの悪態である。ブルーマリンに浴びせられた「暗い」「狭い」「怖い」「安全性」の四点(ブルーマリンの項を参照)への回答として、設計は「先手必勝の絨毯爆撃」「圧倒的防御力」「三重の耐圧隔壁」を最優先に掲げている。機体案が丸みを帯びたずんぐりとしたフォルムへ行き着いたのは隔壁三重化の帰結であり初見の者はまず戦闘機と認識しない。
外見からわかる通り速度は最初から捨てている。設計メモの冒頭には「速い機体はパパの会社がもう作ってる。でも、落ちない機体はまだ誰も作ってない」とある。重量と冗長系に全てを振ったこの思想が、操縦実技歴代最低評価の設計者自身を最初の想定パイロットに置いていることと無関係でないのは言うまでもない。
計画機構 ─ MECHANISM
機体構想はアーウィン のG・ディフューザー技術とブルーマリンの水圧補正転用の合流点にある。同一の機関系で慣性制御と耐圧制御を連続的に切り替えることで、大気圏突入から深海潜航までを一つの操縦系で扱う。海面や大気圏界面といった領域の境界を減速なしで突っ切ることが設計目標に明記されている。
主兵装は照準補正を持たない高出力プラズマ砲である。ロックオン演算を丸ごと削った理由を設計者は「補正は外れた言い訳を覚えるだけだよ、ミスったらボムで何とかすればいいしね」と説明する。浮いた演算資源はすべて防御と装填の管制へ回され、一発の威力は標準的なツインレーザーを大きく上回る見込みという。
爆装はスマートボム 3発。水中でも真空でも同一弾で作動する全領域起爆規格の新型信管が計画の核であり「先手必勝の絨毯爆撃」教義を支える。防御側の三重耐圧隔壁は被弾前提の設計であり試作隔壁の耐圧試験では隔壁より先に試験機のほうが壊れたと伝えられる。
開発状況 ─ STATUS
計画は図面と試作部品・原寸モックアップの段階にある。開発は完全な私費であり資金源はグリッピア の警備ロボット受注の稼ぎと伝えられる。SD社 の関与は先代と同じく今回も非公式であり、社の部品倉庫の在庫が時折説明のつかない減り方をするだけである。
完成時期を尋ねられた設計者の回答は毎回「あと5分」である。ただしトード家 の病を知る者はこの言葉を悲観していない。「あと5分」と言い続けた者が最後に何を持ってくるかを星系はブルーマリンで一度見ているからである。
記録余話 ─ ARCHIVES
命名について本人の説明は「僕が乗るんだから、次は"屈強"な"蛙"でしょ」の一言である。「青い魚」から「ガチムチの蛙」へ。アクアスの童謡から名を継いだ先代と同じく直感を重視した命名はいつものスリッピーらしさである。
原寸モックアップを最初に見たファルコの第一声は「はははっ 今度は樽か!」だった。スリッピーの返答は記録に残っている。「あのさ、樽は沈まないんだよ。知ってた?」
フォックスは計画に一つだけ条件を出している。「今度はちゃんと進水式をして確かめてから使った方がいいぜ。スリッピー本人が乗るなら猶更必要さ」。