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LYLAT SYSTEM — PAPETOON — FRONTIER WORLD — SECTOR-HETA — CDF ACADEMY BRANCH
DATABASE RECORD: PPT-0019 — CLASSIFICATION: DE FACTO REPUBLIC TERRITORY
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パペトゥーン (PAPETOON)

WHERE
HEROES ARE
BORN POOR

辺境開拓惑星 ─ 英雄たちの故郷

ライラット系で最も田舎と称される辺境惑星。賊が跋扈する荒野に士官学校が建ち、いつしか「英雄を輩出する星」と呼ばれるようになった。ジェームズ・マクラウドの故郷。

▌ PLANETARY SCAN — SECTOR-Ͱ ▐
DESIGNATIONPAPETOON / パペトゥーン
DOMAINアウター・リム(ハクティバ圏)
LOCATIONLYLAT 14th — SectorͰ
PLANET TYPEE1型 乾燥惑星
MOONS2
PRIMARY STARハクティバ / パラニド
AVG TEMP-5°C ~ +45°C
DAY / YEAR25.3H / 675D
FACTIONコーネリア共和国(実効統治)
CAPITAL州都 アデレード
RESIDENT RACESアヌビソイド / バステトイド ほか
ENVIRONMENT INDEX -- 56 / 100
Papetoon
Outer Rim — FRONTIER WORLD 辺境開拓惑星 ── 士官学校分校所在地
本当に なんもない星さ。
空と、砂と、夢を見る奴らのほかにはな…-ペッピーが語る J・マクラウドの口癖の話より抜粋-
comm visual

OVERVIEW ─ 概要

「この星の子供は二種類いる。星を出ていく夢を見る子と、星を守る夢を見る子だ」― パペトゥーン士官学校分校 開校式辞より

パペトゥーン(Papetoon)は、セクターͰに位置するライラット星系第14惑星。恒星ハクティバ圏に属する乾燥惑星であり、「ライラット系で最も田舎の地域」と称される辺境である。現在も略奪や賊が跋扈する無法の気風が残るが、20年近く前にコーネリア共和国士官学校分校が置かれてからは、実質的な共和国領となっている。

そして何より、この星はスターフォックスの礎を築いた伝説の傭兵ジェームズ・マクラウドの故郷として、星系中にその名を知られている。

GENESIS ─ 形成史

パペトゥーンは、双子星ハクティバパラニドの共通重心から遠く隔たった周連星軌道を、675日かけて巡っている。連星系の外縁は内側の重力に物質を絶えず掻き取られる領域であり、惑星の材料そのものが慢性的に不足していたと考えられている。この星が小さくまとまったまま成長を止めたのはそのためであり、惑星科学の言い回しを借りれば、パペトゥーンは「材料が尽きて作りかけで終わった星」である。内部に蓄えられた熱も早くに乏しくなり、大規模な造山も活発な火山活動も、この星は経験しないまま今日を迎えている。中央のどの国家もこの星の統治に本腰を入れなかった理由の根は、政治ではなく形成史にある。掘って利益の出る鉱脈が、そもそも作られなかったのである。

かつてのパペトゥーンには、浅いながらも海が存在したと推定されている。谷筋に刻まれた無数の涸れ川の跡と、堆積構造をとどめたままの平原がその証拠である。小さな惑星は内部の冷却が早く、やがて磁場を保てなくなる。守りを失った大気は主星からの風に少しずつ削り取られ、水は宇宙へ逃げ、逃げ遅れた分だけが地下深くへ潜った。地表を覆う赤茶けた色は、失われた水が最後に残していった酸化鉄である。この星の赤は錆であり、錆とはすなわち、かつてここに水と空気があったことの証明にほかならない。

地下へ潜った水は、今も帯水層として岩盤の下に眠っている。オアシス都市と牧場が例外なく谷筋に沿って並ぶのは、この地下水が地表へ最も近づく場所だからであり、開拓民が井戸を掘る位置は数千万年前の水路によって既に決められている。二つの衛星はいずれも形成期に捕らえられた小天体とみられ、質量が小さいため潮汐の影響はほとんど生じない。夜ごと二つの月が並ぶ景色は、この星が持つ数少ない豊かさのひとつに数えられている。

もっとも、この星の貧しさは一度だけ例外をつくった。惑星が小さく、内部の分化が完了しきる前に熱を失ったため、本来なら核へ沈むはずの重い希少元素の一部が、地殻のごく浅い層に取り残されたのである。星系の機械文明を支える基盤素材が、よりによって最も貧しい星の足元で見つかった理由はここにある。ただし取り残された量は絶対的に乏しく、層としての厚みもほとんど持たなかった。のちの熱狂と、その熱狂があまりに早く終わった理由の双方が、この一点に集約されている。

昼夜の寒暖差が50度に達する理由もまた、薄い大気に求められる。日中に地表が受け取った熱を抱えておくだけの空気がないため、日没とともに熱はそのまま空へ逃げてしまう。砂嵐の季節に空が一週間も茶色に染まるのは、水を失った地表が細かな塵をいくらでも供給できるからであり、この塵こそ、かつての海底が風化した果ての姿である。開拓民が「この星の土は海の骨だ」と言い伝えるとき、それは比喩としてはむしろ正確な表現である。

GEOGRAPHY ─ 地理・環境

地表の大半は赤茶けた岩石砂漠と乾燥草原が占め、点在するオアシス都市と鉱山集落を土埃の道が結んでいる。昼夜の寒暖差は50度に達し、砂嵐の季節には空が一週間茶色に染まる。豊かとは言い難いが、水脈のある谷筋には牧場と農場が広がり、質実な開拓生活が営まれている。

ハクティバ通商連合圏と共和国圏の境界に位置するため、辺境ながら交易船の中継地としての性格も持つ。港町の酒場には共和国の士官候補生、連合の商人、そして正体を詮索してはいけない旅人が同じカウンターに並ぶ。

自転周期は25.3標準時間、公転周期は675日。一日の長さが標準時と1時間と違わないという点で、パペトゥーンは星系でも稀有な惑星である。中央から最も遠い辺境でありながら、赴任した士官が惑星時差にほとんど悩まされずに済む星であり、教官たちはこれを「この星が新兵に与える唯一の親切」と呼んでいる。一方で一年は675日と長く、季節はひとつひとつがゆっくりと巡る。乾季が半年近くも続くこの暦に合わせて開拓民の生活は組まれており、種蒔きの時期も家畜を移す時期も、標準暦ではなく現地の季節で数えるのが今なお習わしである。

HISTORY ─ 歴史

パペトゥーンには、もともと誰も住んでいなかった。星系の地図に記載こそされていたものの、それは誰の関心も引かない一個の点にすぎず、入植の候補に挙がったことすらほとんどない。その星が歴史の表舞台へ引きずり出されたのは、地表近くに眠る希少元素ニヴィディウムの鉱床が発見された日である。ライラットのあらゆる機械の基盤を成すこの元素は、当時すでに星系全体がその重要性を認めるところとなっており、しかも採掘可能な産地は、星系広しといえどこの星をおいて他に存在しなかった。

熱狂は凄まじいものであった。星系中から移住者が押し寄せ、荒野には一夜にして町が建ち、無人であったはずの星は人であふれかえった。最盛期の規模は現在のプロスペローに迫っていたとする報告さえ残っている。同時にこの星は領有権を巡る主張の的にもなり、名だたる勢力が競って権利を訴えた。パペトゥーンが星系の話題の中心にあった時期は、後にも先にもこの十数年しかない。

そして鉱床は、わずか十数年で掘り尽くされた。薄い層に取り残されていただけのニヴィディウムは、掘り当てることは容易でも、掘り続けられる量ではなかったのである。何も残らなくなった星から人々は潮が引くように去り、領有権を叫んでいた勢力も一斉に口をつぐんだ。どの国家も本気で統治しようとしない星という評価が定着したのはこの時であり、後に残されたのは、中央へ帰る場所を持たない者たちだけであった。以来この星は、居場所を失った者が隠れるように流れ着く田舎であり続けている。

枯渇は星系規模の危機を招いたが、やがて第二の産地が見つかる。それが第2惑星タイタニア、今日「禁断の惑星」として語り継がれる呪われた星であった。パペトゥーンで始まったニヴィディウムの争奪はそのままタイタニア開発の主導権争いへ移り、やがて星系全土を巻き込む大戦争第1次ライラットウォーズへと発展していく。何もない辺境で始まった熱狂が240年の戦乱の最初の火種であったという事実は、この星の歴史において最も重い一行である。

当時の採掘設備は、今も荒野のそこかしこに打ち捨てられたまま残されている。タイタニアに設置されたプロフェッサー・ハンガーと同型の大型採掘機であるものの、こちらは前世代型にあたり、人工知能を持たない有人仕様である。無人で稼働を続ける禁断の星の機械とは対照的に、この星の機械は操縦席を空にしたまま砂へ埋もれていく。子供たちにとっては格好の遊び場であり、少年時代のジェームズ・マクラウドが最初に触れた「操縦席」もこの廃機であったと伝えられている。

中央から遠く、資源も尽きたこの星では、住民が自警団を組んで賊から町を守るのが常であった。若き日のジェームズ・マクラウドが操縦と射撃を覚えたのも、この自警の空の上だったと伝えられる。彼が幼少期に怯えたという略奪者の正体は、隣接するセクターϫ(セティボス)に本拠を置いた独立星系連合(IGA)に与する末端の暴徒たちである。

戦役下のこの星にはもう一つの災厄が刻まれている。かつて非常食として持ち込まれたコーネリア産の蝗(遡ればブレーメン開拓団に由来するとみられる)が異常発生し、地上のあらゆる植物を食い尽くしたのである。猛威は5年にわたり収まらず惑星の植生は事実上壊滅。惑星史上最悪と記録されるこの大飢饉の間、スペースドルもセグルも星の上では価値を失い、住民は物々交換だけで生き延びた。IGA末端の暴徒による略奪が最も苛烈を極めたのもこの時期であり、飢えた町々の間を「IGAだけを狙う義賊」の噂が駆け巡ったのもまたこの頃である。

なおIGA掃討戦の結末には、この星が皮肉な形で関わっている。基地を自爆させて味方を見捨てたIGA総統は、商船に擬態してパペトゥーンに潜伏していたところを野盗集団に拘束され、起動させられた緊急通信を追跡中の共和国軍に探知されて御用となった。「賊が賊の親玉を売った星」──この逸話は、今も士官学校の教官たちの十八番である。

転機は20年近く前、共和国が士官学校の分校をこの星に誘致したことである。通商連合の思惑と共和国の辺境安定化政策が一致した結果だが、これによりパペトゥーンは名実ともに「共和国の入口」となった。賊の襲撃は激減し、辺境の子供たちに「軍人」という進路が開かれた。

SOCIETY ─ 住民・社会

住民はアヌビソイドの開拓農家を中心に、放浪癖のあるバステトイド、流れ者のホルソイドなど、一言で言えば「中央に収まりきらなかった者たち」の社会である。互いの過去を聞かないことが最大の礼儀とされ、その代わり困った時は理由を聞かずに助ける。

辺鄙な位置ゆえに閉鎖的と見なされがちであるものの、実際のパペトゥーンは辺境なりの秩序と縁とを重んじる土地である。一度受け入れた相手は身内として扱い、義理を欠く振る舞いだけは容赦なく咎められる。コアワールドやハクティバ圏の他の惑星が効率と引き換えに手放してきたものが、この星では時を止めたまま取り残されていると評する者は多い。

数少ない外貨の収入源が、ジェームズ・マクラウドゆかりの地を巡る聖地巡礼ツアーである。何もない星という評判をよそに、星系各地から組まれた団体客が定期的に降り立ち、専用のバスに揺られて牧場跡から分校、酒場までを何日もかけて巡っていく。町と町の間隔がそのまま日程の長さになるため、移動時間の大半を車窓の荒野が占めるという行程表は、この星の巡礼ならではのものである。地元もこれを歓迎しており、案内役を買って出る古老の数は年ごとに増える一方である。彼らの語る逸話が回を重ねるごとに少しずつ膨らんでいく点については、町ぐるみで黙認されている。

士官学校分校の存在は町の誇りであり、卒業式の日には星中の町が祭りになる。「パペトゥーン出身」という履歴は、かつては侮りの対象だったが、ジェームズ・マクラウド以降は違う。今では教官たちが「第二のマクラウドを探しに」この星の分校への赴任を志願するという。

州都アデレードは、開拓民やコーネリア軍の訓練生が最初に降り立つ、惑星の玄関にしてただの田舎町である。娯楽施設は宇宙港の目の前にしかなく、大通りを一本跨げばシャッター街と空き家が目立つ。「この町の退屈に耐えることが訓練生最初の試練」とは分校の古い言い草である。なおジェームズ・マクラウドが暮らした町キャッスルロックまでは車で7日、隣町までも車で丸一日かかるため、自家用宇宙船舶なしでの生活は事実上不可能とされる。

キャッスルロックから車で1日の距離にはテルルハイドの町がある。往時の熱狂の頃にニヴィディウムの採掘場と精錬所で栄えた鉱業の町であり、荒野に残る採掘場跡は当時の名残である。精錬設備の残り火で長く食いつないだものの現在は産業らしい産業を持たず、人口は減り続け寂れた田舎町となっている。後年この町の名は、ある反逆者の生地として星系に知られることになった。

MILITARY ─ 軍事

駐留戦力は士官学校の教導飛行隊と地元自警団のみで、正規の防衛艦隊は存在しない。それでもこの星が大戦の戦火を免れているのは、通商連合圏との緩衝地帯という地政学的な位置と、「英雄の故郷を焼けば星系中を敵に回す」という無形の抑止力によるところが大きい。

一方で共和国軍内では、辺境育ちのパペトゥーン出身士官の評価は年々高まっている。整備不良の機体で砂嵐を飛ぶ度胸、無線の通じない荒野での判断力──士官学校の成績表には載らない能力を、この星の空が育てるからである。

ARCHIVES ─ 記録余話

マクラウド家の牧場跡は今も残されており、朽ちた格納庫には少年ジェームズが最初に組み上げたという自作グライダーの骨組みが保存されている。囲いも看板もないが、訪れた者は自然と帽子を取る。息子のフォックスが幼少期を過ごしたのもこの星であり、地元の古老たちは「あの親子は同じ空の飛び方をする」と語る。

母屋の跡には一枚だけ崩れずに立つ壁があり、大小二つの手形が並んで残されている。幼い息子と父が塗料に手を浸して押したものである。両足と左手を義肢に置き換えていた父が手形に使ったのは、最後まで生身のまま残された右手だった(J・マクラウドの項を参照)。風雨に晒されながらこの手形が消えないのは、誰かが定期的に防護剤を塗り直しているためとみられる。その誰かの名を、町の者は知っていて言わない。

幼少期のフォックス・マクラウドが暮らしたのは、キャッスルロックという田舎町である。城のごとく岩の柱が立ち並ぶ雄大な景色のほかには本当に何もない場所であったが、両親と過ごした時間も、町の人々との日々も、毎週日曜の朝に広場で二つの太陽へ捧げた祈りも、そのすべてが彼にとっての宝である。月に一度だけ家族で通ったレストランは今も変わらず店を開けており、フォックスは人生の岐路に立ったときと、本当に大切な決断を下すときにだけ、今もあの店に顔を見せるという。

ペッピー・ヘアは長期休暇のたび、娘を連れてこの星を訪れる。独立星系連合の討伐戦ではセティボス圏へ向かう経由地かつ補給地として幾度も降り立ち、後には士官学校第6分校の教育係として赴任もした、思い出の詰まった土地である。「この星に来ると昔話ばっかり」と娘には煙たがられるものの、それでも彼には、次の時代を生きる者へ伝えておきたいことがある。

名門トード家の嫡男スリッピー・トードにとっても、この星は青春の地である。気になるものは確かめずにいられない性分はオタマジャクシの頃から変わらず、一人前の蛙になってもついに直らなかった。才能を認めながらも10秒と目を離せない息子に途方に暮れた父ベルツィーノが、上司ヤル・デ・ポンへ相談した末に辿り着いた答えが、士官学校への入学である。

もっとも、名門トード家をもってしても、軍の頂点を輩出するコーネリアシティの本校へ息子をねじ込むことはかなわなかった。転機は思わぬ方向から訪れる。ベルツィーノの親友であり顧客でもあったロバート・グレイ、すなわちビル・グレイの父の推薦状によって、パペトゥーン分校への入学が決まったのである。人生で初めて一人旅立つ息子を見送る両親は宇宙港で20歩ごとに記念写真を撮り、その様子は周囲から今生の別れと誤解されるほどであったという。

分校時代の逸話は、とてもここに書き切れる分量ではない。あらゆる種類の騒動を起こし、校内で彼の名を知らぬ者は一人もいなかった。巻き込まれた者たちは例外なく呆れ、そして例外なくその才能を認めている。現地で得た友人と揃って中退したという知らせが届いたときには、両親はショックのあまり気を失い、食事も御代わり2杯までしか喉を通らないほど憔悴したと伝えられる。後年、新生スターフォックスのクルーとして活躍する息子の姿を報道で目にした両親は、ようやく胸を撫で下ろしてこう漏らしたという。やっとあの子が、自分のままで活躍できる場所ができた、と。

この星が最も語りたがらない滞在者がアンドルフ・ボウマンである。彼がなぜこの星を選んだのかは今も定かではない。分かっているのは、コーネリアの中枢で彼が居場所を失いつつあったこと、そして最愛の妻子を病で亡くした直後であったことだけである。

彼はキャッスルロック郊外のあばら家を自ら改築し、そこで一人暮らしていた。名は「アンディー・ロス」と偽っていたとされる。町では小さな修理屋を営み、持ち込まれる機械を片端から直していた。生涯働かずとも困らないだけの資産を持っていたにもかかわらず、その仕事ぶりは町の職人たちが一目置くほどであったという。町に一軒しかない酒場では、渋い佇まいと物腰柔らかな語り口、機知と語彙に富んだ話しぶりで評判を取った。当時の彼を知る者の証言は、後年の皇帝の姿とはあまりに結びつかない。

隠棲の日々は、決して孤独ではなかった。オイッコニーの一家が定期的に彼の家を訪ねていたことは町の人々の記憶に残っており、その暮らしはむしろ穏やかなものであったとみられる。妻子を失った彼がなぜヴィクシーに心を寄せたのか、真相は闇の中である。ただペパー将軍は、床に臥せる妻が最後に遺した「一人にならないで」という言いつけを、彼が律儀に守ろうとした結果ではないかと推察している。少なくとも、その動機がだらしなさによるものでなかったことだけは確かなのかもしれない。

ピグマ・デンガーがこの星の生まれであることは、あまり知られていない。何もない星に育ち、何もないという事実を心底嫌った少年が、金だけは裏切らないという結論へ辿り着くまでに、そう長い時間はかからなかったとされる。同じ土と同じ空の下で育ちながら、一方は帰る場所として故郷を語り、もう一方は二度と帰らぬ場所として故郷を語った。パペトゥーンがしばしば人生の交差点と呼ばれるのは、この星が英雄だけを送り出したわけではないからである。

士官学校分校の校庭には、卒業生が旅立ちの朝に自分のブーツの砂を落としていく「砂山」がある。「故郷の砂は置いていけ、翼は錆びるから」という戒めだが、卒業生たちは口を揃えてこう言う──結局、砂は機体の隙間から一生落ちきらないのだと。