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[ WPN-27 / GREAT COMMANDER — グレート・コマンダー ]
UNDEPLOYED — DECISIVE WEAPON
ARMORY FILE — GREAT COMMANDER — TRINITY TRANSFORMABLE BATTLESHIP — VENOM EMPIRE
DATABASE RECORD: WPN-0027 — CLEARANCE: PARTIAL — SEE ALSO FILE PF-0021 / BLS-0009
[ WPN-27 / ARMORY FILE ]
グレート・コマンダー (GREAT COMMANDER)

GREAT
COMMANDER

THE ADMIRAL'S TRUMP ── 帝国軍 三胴合体式可変戦艦 ─ 大提督の決戦旗艦

ベノム帝国軍が建造した3隻一組の巨大可変戦艦。合体の順番によって戦艦・人型・蛙型の3形態へ姿を変え、ケローン大提督の座乗だけが予定されている決戦旗艦とされる。開戦以来ただの一度も実戦へ投入されておらず、その「未投入」こそが共和国艦隊を縛り続けている。

▌ INTELLIGENCE SCAN — FILE 27 ▐
DESIGNATIONGREAT COMMANDER / グレート・コマンダー(帝国制式呼称・傍受確認)
CLASS三胴合体式可変戦艦
CONFIGURATION独立戦闘艦3隻の連結構造 — 合体順により3形態
FORMS戦艦形態(速力)/人型形態(膂力)/蛙形態(電磁アイアンボール)
LINEAGEブレイン・クラッシャー系 正当後継機
CAPTAINケローン大提督(座乗=「本気の証」)
OPERATORベノム帝国軍
STATUS未実戦投入 — 所在秘匿
THREAT PROJECTION -- 98 / 100 (SIMULATED)
GREAT COMMANDER
VENOM EMPIRE — TRINITY TRANSFORMABLE BATTLESHIP 大提督の決戦旗艦 グレート・コマンダー
祈るべきは あの白い艦が港を出ないことだ。
出た日には 祈る相手を変えることだな…-CDF士官学校 対大型艦戦術講義・教官の結語-
comm visual

概要 ─ OVERVIEW

「一度も火を噴いていない砲が、共和国艦隊の進路を今日も決めている。 あの艦はそれだけの怪物だ…」― CDF参謀部 方面作戦会議の発言録

グレート・コマンダー(Great Commander)は、ベノム帝国軍が建造した三胴合体式の巨大可変戦艦である。それぞれが完結した戦闘艦である3隻が連結して一個の戦艦として機能し、合体の順番によって全く異なる3つの形態へ変形すると解析されている。ケローン大提督の座乗だけが予定されている唯一の艦、すなわち大提督の決戦旗艦であり、開戦から現在に至るまで一度も実戦へ投入されていない。

実戦記録を持たない兵器へ現役兵器と同格の記録番号を与えた例は、CDFの兵器台帳でも本艦のほかにない。その姿は傍受された帝国軍内通信、亡命した造船技師の証言、そしてボルスを再建した第1衛星ゴモラ造船区画の長期観測から再構成された推定像にすぎず、本ファイルの記載もその域を出ない。それでも共和国の作戦立案はこの「まだ見ぬ艦」を盤上に置くことを既に強いられている。

機構 ─ 三位一体 TRINITY

重要な点のため最初に述べるが本艦の実体は単艦ではない。独立した機関と艦橋を持つ3隻の大型戦闘艦が航行中に連結し「一個の巨大戦艦」として振る舞う。注目すべきは合体の順番である。どの艦が構造の首位に立つかで全体の重心と出力配分が組み変わり、外見も性能も別物の3形態が現れると解析されている。帝国がこの3隻をただ一つの艦名で呼ぶ事実は彼らがこれを「一隻の兵器」と見なしている何よりの証左といえる。

第一の形態は速力へ全てを注いだ戦艦形態である。推定加速性能は帝国のいかなる主力艦をも上回りケローン艦隊の代名詞である短距離跳躍の艦隊機動と組み合わされた場合、交戦距離と離脱時機の決定権は常に本艦の側に握られると試算されている。第二の形態は膂力へ振った人型形態であり艦体が組み変わって四肢を備えた鋼の巨人となる。ブレイン・クラッシャーmk-Ⅳの「戦闘モード」の正当進化とみられ、要塞級の構造物を白兵で解体する出力が想定されている。

そして第三の形態が「蛙」をかたどった異形の奥の手である。この形態のみが秘密兵器「電磁アイアンボール」を運用する。超質量の金属球を電磁投射で撃ち出し、艦外に展開した電磁場で軌道を自在に曲げ陣形を薙ぎ払った球を再び手元へ引き戻す。技師は引き戻される鉄球の挙動を「獲物を捉えた蛙の舌」と表現している。3形態のうち詳細が最も薄いのがこの形態であり、当の技師も試験映像を一度見ただけだと証言を結んでいる。

再生機構 ─ REGENERATION

本艦の真の脅威は変形ではなく、その不死性にあると評価されている。動力部や排熱孔といった大型艦攻略の定石の弱点を撃ち抜いても、損傷は観測不能の速度で回復すると解析されている。3隻がそれぞれ予備動力と修復系を持ち寄る冗長構造に由来すると推定され、CDFの図上演習では弱点攻撃を軸とする現行の対大型艦教義が全て不成立となった。正面からの艦隊戦に至っては「砲弾が尽きるまで削り続けても沈まない」結果だけが繰り返し出力されている。

作戦研究注記: 唯一の解は合体と分離の狭間にある。形態を切り替える分離の瞬間にのみ各艦の動力部が装甲の外へ露出する。ただし1隻ないし2隻の破壊では残存艦から即座に再生されるため、機能停止へ至る道は3隻の動力部の同時破壊ただ一つと結論する。分離を強いる手段、および3方向からの同時精密攻撃を成立させる編成についてはスターフォックスへの諮問を含め継続研究とする

系譜 ─ LINEAGE

本艦はブレイン・クラッシャーの正当後継機のひとつと位置付けられている。戦艦が戦闘ロボットへ変形するという常識外の艦種は、フォルトナで大破したmk-Ⅳがこれまで唯一の実例であり、共和国の艦種分類「可変戦艦」は同艦ただ一隻のために起こされた区分であった。本艦の存在確認によりその台帳へ二隻目が書き加えられることになる。

ただし成り立ちは先代と大きく異なる。mk-Ⅳが戦闘機の直接スケールアップという出自を持つのに対し、本艦は最初から合体と変形を前提に3隻を新造したものと解析されている。皇帝アンドルフの趣味と評された変形機構が、一個の設計思想として帝国の造船陣へ受け継がれたことを示す系譜であり、その設計に皇帝自身がどこまで関与したかは確認されていない。

戦略的地位 ─ STRATEGIC POSTURE

CDFが最も重く見ているのは、この艦が「使われていない」という事実そのものである。現在の分析では、本艦はボルスが沈黙した時に戦線へ送られる最終兵器と考えられている。AREA6の絶対防衛圏が「動かない要塞」を前面に置く構想であるなら、その背後には「動く要塞」が控えていることになる。防衛線の最後の背骨を担う存在であり、帝国が本艦を温存し続ける限り、共和国は勝利の定義を一段深く設定し直さねばならない。

もう一つの含意は艦長人事にある。大提督の座乗だけを予定した艦である以上、本艦の出撃はケローンが自ら最前線へ立つことと同義であり、共和国の分析官はこれを「本気の証」と呼び習わしている。師弟の最終講となった刻の軍神作戦は両者が正面から艦隊を向き合わせた唯一の会戦だったが、その盤上にすらこの艦は現れず大提督は通常の旗艦で臨んでいる。ゆえに読みは一致している。大提督が本艦へ移乗したという一報が届いた時、それは帝国が総力戦へ移った合図である。

模擬演算が算出した本艦の戦力評価は実測されたあらゆる帝国単艦戦力の数値を上回った。演算を担当した士官は報告書の末尾に一文だけ私見を残している。「本艦に関する最良の報告書とは、永遠に白紙のままの戦闘詳報である」。

記録余話 ─ ARCHIVES

「グレート・コマンダー」の名は共和国側の仮称ではなく、傍受された帝国軍内通信にそのまま現れる制式呼称である。厄介なのはその語義で帝国将兵がこの名を口にする時、艦を指すのか大提督その人を指すのか文脈から判別できない例が多いと報告されている。識別の混乱を避けるため固有の識別名を与える案が一度起こされたが「敵が呼ぶ名で呼ぶことが最も正確である」として却下された。

分析官の間で長く話題になっているのが、第三形態の意匠である。ケローンはヘケトイド、それもコバルト・ヤドクガエル系の出自であり、奥の手の形態が蛙をかたどる符合を偶然と見る者は少ない。設計陣の忠誠の発露とする説と大提督自身の指定とする説が並立したまま、真相を知る者は帝国の設計局の外にいない。

亡命技師は聴取の最後に艦の外装色を問われ「大提督の軍服と同じ色である」とだけ答えている。裏付けは取れていない。CDFの資料台帳において本艦の画像欄は今も白紙のままである。