WOLFEN
スターウルフが駆る敵性の全領域戦闘機。アーウィンと互角に渡り合う星系で唯一の機体であり、その系譜には裏切りの影がある。
| DESIGNATION | WOLFEN / ウルフェン |
| CLASS | 超高性能全領域戦闘機(敵性・強襲戦闘機) |
| MANUFACTURER | 帝国工廠(設計主任: ピグマ・デンガーと推定) |
| BASE | ウルフェン-ZERO(骨格系譜)/ アーウィン3号機(機関・管制) |
| LENGTH | 全長 29sm(推定) |
| MAX SPEED | M4.1(観測値) |
| POWERPLANT | プラズマエンジン(型式不明・Ⅱは2基掛け) |
| ARMAMENT | ツインレーザー / 誘導弾 / 全周バリア(Ⅱ)/ 各機カスタム兵装 |
| EQUIPMENT | グラヴィティブレード×6(Gディフューザー同系と推定) |
| CURRENT | ウルフェンⅡ — 現存3機(ハンター形態へ変形) |
| OPERATOR | 傭兵部隊スターウルフ |
| STATUS | 敵性 — 交戦注意 |
似すぎている理由を…教えてやろうか?-交戦時の傍受通信より-
概要 ─ OVERVIEW
アーウィンの好敵手を作れるのは、アーウィンを知る者だけだ― CDF技術情報部 解析報告の結論より
ウルフェン(Wolfen)は、傭兵部隊スターウルフが運用する全領域戦闘機である。肩書きは奇しくもアーウィン と同じ「超高性能全領域戦闘機」。性能値だけならそのアーウィンすら上回る星系最強の強襲戦闘機であり、ウルフ・オドネル ら4名の手で数々の戦域に牙を剥いてきた。ただしカタログ性能を引き出すには搭乗者の側に相応の技量が要求され、CDFの評価表は本機をこう総括している。「乗り手を選ぶ機体ではなく、乗り手を試す機体である」。
赤い機体色と前進翼のシルエットは前線パイロットの恐怖の的であり、「翼の影が二重に見えたら、それはウルフェンだ」という警句が生まれている。
機構 ─ MECHANISM
機体を支えるのは重力制御翼「グラヴィティブレード」である。観測された機動特性からスペース・ダイナミクス社 が独占するはずのGディフューザーシステムと同系の機関と推定され、搭載数はアーウィンのG.D.S. 4基に対し6基。制御は緻密さでなく凶暴さに振られており、アーウィンなら操縦系が拒否する荷重領域へ平然と踏み込んでくる。搭乗者への技量要求が跳ね上がる最大の理由である。
CDF は複数の状況証拠から本機の出自を次のように結論付けている。機体骨格と空力設計はウルフ・オドネル の旧愛機「ウルフェン-ZERO」(系譜の項を参照)の拡大発展型であり、心臓部…すなわちGディフューザー機関と管制系は、ベノム 偵察作戦の際にピグマ・デンガー が整備記録一式とともに持ち去ったアーウィン 3号機から移植された。記録上「3号機を素体とした」と表現されるのはこのためである。骨格は狼、心臓は狐。ウルフェンとは裏切りによって生まれたアーウィンの「異母兄弟」なのである。
系譜 ─ LINEAGE
「ウルフェン」の名を持つ機体は一つではない。ウルフ・オドネル がサルガッソー の一匹狼だった時代から駆っていた個人所有の戦闘機が同じ名で呼ばれており、これは現行系列と設計も出自も全く異なる別機である。サイレント・ナイトメア事件の管制記録に残る「4機目の機影」はこの機体と同定されている(サルガッソー宙域の記録を参照)
現行の主力機ウルフェンⅠは前述のとおりアーウィン3号機を素体とする機体である。開発にあたりピグマはウルフの旧乗機を「ウルフェン-ZERO」と呼んで区別しており、傍受記録に残るこの呼称はCDFの識別名にもそのまま採用された。系列の原点の名を新型でなく隊長の古い愛機へ譲った命名には、あの男なりの敬意が含まれているとみる分析官もいる。
そして次期主力として開発されたのが、現行の切り札ウルフェンⅡである(次項)。
現行切り札 ─ WOLFEN II
ウルフェンⅡはⅠの設計を全面的に拡大した発展型である。前進翼は3対6枚、機関は2基掛けとなり、ツインレーザーを標準装備する。ローリングによる光学系射撃の反射に加え、機体全周のバリアはチャージ弾やスマートボム級の爆装すら無効化し、火力・機動性ともアーウィンを格段に上回るとCDFは解析している。
最大の特徴は重襲撃機ハンター への変形機構である。従来のハンターはウルフェンの先行試作フレームを再生した別機体だったが、Ⅱはその追跡・重武装形態を組み換えなしのシームレス変形として機体そのものへ統合した。アーウィンにおけるウォーカー への変形に相当する機構であり、「追う」ために生きてきた部隊の設計思想の到達点といえる。
この完璧とまで評される相互可変はスターウルフ独自の発明ではないとCDFは分析している。可変機構の系譜を星系で遡れば行き着く先は一つ。皇帝アンドルフ が自ら設計した可変戦艦ブレイン・クラッシャーmk-Ⅳ と、その前身たる可変機の一族である。とりわけ負荷なく瞬時に完了するハンター形態への移行には、戦闘機として可変機構を完成させた前身機「mk-Ⅲ」の技術がそのまま生かされているとみられる。帝国からの計り知れないバックアップ(ピグマの項を参照)の中身を最も雄弁に物語る物証である。
Ⅱは隊の定数に合わせ4機が建造されたが、ボルスでの変形機構の実地試験を兼ねた合同軍事訓練でアンドリュー・オイッコニー の乗機が大破し(ボルスの項を参照)、以後の追加建造は行われておらず現存は3機である。
運用には各人の個性が出る。ピグマ とレオン は変形機構をフル活用しており、とりわけレオンはハンター形態を偏愛して「獲物の最後の数分はいつも顎の中にいる」と評される。一方ウルフは滅多に変形を使わない。空中戦への矜持ゆえとみられるが本人が理由を語った記録は長らく存在しなかった(記録余話を参照)。
各機の仕様 ─ CUSTOMIZATION
ウルフェンの脅威は機体性能に留まらない。各機は搭乗者が自力でチューニングを施せる整備性を持ち、搭載兵装も一機ごとに微妙に異なる。以下はCDFが交戦記録から復元した各機の仕様である。
ウルフ機──加速と攻撃力へパラメータの全てを割り振った極端な仕様である。防御を捨てた機体を成立させているのは本人の驚異的な操縦技術であり、交戦したパイロットの報告書には「"当たらないなら装甲は要らない"を実践する機体」とある。
レオン機──ハンター形態への変形と連動して小型探知機を射出する機構を搭載する。撃ち込まれた探知機は獲物の推進波紋を発信し続け、変形後の捕縛をほぼ確実のものにする。逃げ切ったはずの機体から後日この探知機が見つかる事例が続いており、CDF整備班に点検の注意喚起が出されている。
ピグマ機──専用の閃光弾「ピグマボム」を搭載する。戦闘時の目くらましと逃走時の追跡妨害を兼ね、炸裂の光度は対閃光防護越しに残像を焼き付けるほどとされる。撃墜数より生還数を優先する男の哲学がそのまま兵装になっている。
アンドリュー機──ボルス で失われた4号機は高圧電流を発生させる電磁ネットの投射装備を持っていた。ただし展開したネットに自機が絡まる事故が複数回記録されており、CDFの評価表には「専用装備によりむしろ弱体化した稀有な事例」と記されている。
運用史 ─ HISTORY
初観測はフィチナ のクライメート・コントロール奪還戦である。以後、フォルトナ、カタリナ と、スターフォックスの現れる戦域には必ずウルフェンが現れた。撃墜スコアではアーウィンが常に一歩上回るものの決定的な差は今もついていない。
興味深いのは運用思想の違いである。スターフォックスが4機の連携を武器とするのに対しスターウルフは4つの個性が別々に獲物を追う。ウルフェンの設計もそれを反映し各機のチューニングは搭乗者ごとに大きく異なる(各機の仕様の項を参照)。
記録余話 ─ ARCHIVES
撃墜され回収されたウルフェンの残骸から機体フレームに刻まれた小さな銘が発見された──「良い狩りを(Good Hunt)」。同じ言葉がスターフォックス の出撃管制でも使われており、両部隊の因縁がどこまで遡るのか情報部を悩ませ続けている。
ウルフの乗る隊長機は左舷センサーが特注の広域型に換装されている。左目を失った男の機体が、左をより遠くまで見る──整備記録のこの一行に、彼の流儀が集約されている。
変形を使わない理由を僚機に問われたウルフの返答が一度だけ傍受されている。「翼を捨てて獲った獲物を"狩り"とは呼ばねぇよ」。レオンが無線の向こうで笑った音まで記録には残っている。
ウルフの専用兵装にはローリング機動そのものに攻撃能力を付与した装備が存在する。初使用の際、傍受記録には本人が高らかに叫ぶ「ライトニングトルネイド!」の声が残っていた。兵装に正式名はなく、あくまで本人が考えた技名である。シールドを展開した共和国の中型艦を一撃で沈める威力を示したものの、この叫びをレオンが何度も茶化したため、ライトニングトルネイドが使用されたのはこの一度きりである。