MIYU LYNX
カタリナ出身のオオヤマネコ系バステトイドの女性。プロスペロー航空自警団の迎撃パイロットから、フェイ・スパニエルに続いて押しかける形でスターフォックス第2隊に加わった。「防衛より攻撃に向いている」と自ら公言する。証明写真からは小柄な女性を連想させるが実際は190を超える大柄であり、軍用ジャケット姿で男性に間違われるのが本人最大の悩みである。
…え、写真? あれ本人だよ。あ~ちょっと撮り方が悪かったんだ。-スターフォックス 入団面接記録より-
人物 ─ PROFILE
書類で会った人間は全員、本人に会うと一度黙る。まあ無理もない。― プロスペロー航空自警団 団長の談
ミュウ・リンクスはスターフォックス第2隊に籍を置く迎撃パイロットである。元はプロスペローの民間航空自警団の団員でありカタリナ出身のオオヤマネコ系バステトイドの女性で「防衛より攻撃に向いている」と自ら公言して憚らない。環状コロニー「オベロンⅢ」によって管理される農場地帯を守るために組織された自警団にあって、守るより先に落とすことを信条とするこの人物は明らかに異色であったが、迎撃小隊の撃墜数の半分近くを一人で稼いでいた以上団長も方針の違いを口にしたことはなかった。
本人にとって最大の悩みは自身の体格である。証明写真に写るのは目の大きな小柄な女性であり書類だけを見た者は例外なく華奢な人物を想像する。ところが実物は190を超える大柄で肩幅も広く軍用ジャケットを着ていると高い確率で男性に間違われる。装備も衣服も全て特注の2Lサイズであり写真と実物の落差はもはや自警団の名物になっている。初対面の相手が一度黙ってから「あの、写真の方は」と尋ねる場面を本人は数え切れないほど経験しており、「オレ本人だよ。撮り方が悪かっただけだっての」が定型の返答である。
気性はバステトイドらしく自由で率直であり縛られることを嫌う。規律には従うが納得しない命令には必ず一言を返し、その一言が的を射ているため上官が黙る。仲間の面倒見は良く格納庫で一番声が大きいのはたいてい彼女である。
経歴 ─ BIOGRAPHY
生まれはカタリナの首都ノラ・アネモスである。開拓庁に勤める両親の下で育ち、雨季の泥濘と乾季の砂嵐を子供の頃から知っている。カタリナの開拓庁にはバステトイドが多く規律を重んじる駐留軍との文化摩擦は日常の風景であった。彼女が軍ではなく民間の自警団を選んだ理由は本人曰く「命令されるのは嫌いだが、落とすのは好きだから」である。
士官学校第2分校の受験は一度で諦めている。文字はまるで筆記体と誤認するほど汚く、試験が塗りつぶし式の選択問題だったことで辛うじて学力試験は通ったが適性面接で「オレ、防衛より攻撃のほうが好きですね~」と正直に答え、面接官に「うちは防衛軍だ」と返されたのが理由であるという。以来プロスペローへ渡り航空自警団の迎撃小隊に志願した。民間の志願者で低軌道の哨戒を担う自警団は正規軍ほど採用に厳しくなく、面接記録には「体格・意欲ともに申し分なし。ただし写真は差し替え要」とだけ記されている。
同じ格納庫を使っていた整備士フェイ・スパニエルとはこの自警団で知り合った。囮役を好む速さ一辺倒のフェイと火力で押し切るミュウは飛び方が正反対であり、二人の模擬戦は交互に勝ち星を取り合う自警団の名物であった。フェイがスターフォックスへ押しかけた後も連絡は絶えておらずミュウは今も彼女を「リボン」と呼ぶ。
そして彼女もまた追いかけて押しかけた。フェイの合流から程なくしてグレートフォックスがプロスペローへ再び補給に降りた際、ブルーベルごと格納庫に乗り込み「リボンが世話になってるんだろ。もう一機いた方が楽だぜ」と言い放って居座ったのである。二度目の押しかけに艦の全員が既視感を覚え追い出す理由を今回も誰も思いつけなかった。常勤の隊員ではなく、フォックス・マクラウドが押しかけ組の扱いに困った末に設けた第2隊の一員として、欠員が出た際の代役と随伴機を務めている。自前の機体を持ち込むことが第2隊の条件でありブルーベルはその条件を満たす二機目の花となった。
乗機 ─ BLUEBELL
乗機は量産機コーネリアファイターを素体とする改造機「ブルーベル」である。フェイのゼラニュームが装甲と火器を削って速度を得た機体であるなら、こちらは逆に火器を増設して正面火力を得た機体であり、青一色の塗装は「フェイが赤ならこっちは青だろ」という以上の理由を持たない。花の名は二人で揃えたものである。
ロックオン機構を持たない量産機の弱点を彼女は数で補わず距離で補う。敵が撃ってくる前に懐へ入り、外しようのない距離で撃つ。速度で劣る分を度胸で埋めるこの飛び方は自警団の教官を悩ませ続けており、教範に「真似をしないこと」と注記された唯一の団員である。ただ、この注記の存在がスターフォックスのメンバーたちの興味を惹きつけることになった。なにせ、彼らも同類の「真似を推奨されない操縦」の常習犯だからである。
戦歴・記録 ─ SERVICE
コーネリア防衛戦以降、プロスペロー低軌道への帝国の小規模侵入は絶えていない。正規軍のレトリーバー隊が本土全域を受け持つ以上、農場地帯へ紛れ込む単機や偵察機を落とすのは自警団の仕事であり、ミュウの撃墜記録の大半は自警団時代のこの哨戒任務で積み上げられたものである。民間の記録であるためCDFの戦績には載らないがレトリーバー隊の整備班は自警団から届いていた撃墜報告の署名で彼女の名を覚えている。スターフォックス第2隊に移ってからの出撃は欠員の穴埋めと随伴が中心であり公式の戦績はフェイと同じく「随伴機」として処理されている。
合同哨戒でレトリーバー隊と並んだ際、隊長機ゴールド・クレストの隣にブルーベルが付いた記録が残っている。隊長のジョージ・バロンは民間機の随伴に露骨に不機嫌であったが、その日の撃墜が自警団側に一つ多かったことで通信は終始無言だったという。
記録余話 ─ ARCHIVES
写真と実物の落差については本人なりの分析があるあり、「カメラが小さいのがいけない」というのである。自警団の広報は撮り直しを申し出るたびに承諾しているが、撮り直した写真も例外なく小柄に写るため、現在では「写真がどう写ろうと本人はデカい、以上」と注記を付けて運用されている。
グレートフォックスの格納庫でスターフォックスメンバーやフェイと並んで撮られた写真が一枚残っている。写真の中で最も背が高いのはファルコ・ランバルディではなくミュウであり、ファルコはこの写真の存在を認めていない。
フォックスと話をするときミュウは少し屈む必要がある。等身が一つ違うためであり本人に他意はないがフォックスには思うところがあったらしい。ある日の出撃前、露骨なまでに底の高いシークレットブーツを履いて格納庫に現れたフォックスをファルコが指差して笑い、笑い声が艦内放送に乗ったことで話は艦の全員に知れ渡った。ブーツはその日のうちに姿を消し、以来フォックスは「屈むな…俺が上を向けばいい話だろ」と言うようになったという。ミュウはこの件について「気にしてないって言ったのにね~」とだけ漏らしている。