SARUMARINE
ゾネスの毒の海を荒らした武装潜水艦。フィチナの氷下海漁船を無数の改造で万能戦闘艦へ変えた異形の船であり、撃沈された現在も後継艦の活動により記録の更新が続いている。
つまり海の底は俺たちの国ってわけだ!-傍受された艦内放送より-
概要 ─ OVERVIEW
「船ってのはなあ、沈まなけりゃ勝ちなんだよ」― 船長の口癖(乗組員の供述より)
サルマリン号(Sarumarine)は、ゾネスの毒の海を根城とした武装潜水艦である。本来はフィチナの氷下海で使われる潜水漁船だったが、度重なる無茶な改造を経て、不格好ながらも様々な機能と兵装を備える「万能戦闘艦」と化していた。サルベージ作業はもちろん、潜航による隠密活動から異分子の排除まで幅広い用途で応用力を発揮し、ゾネスを占拠する無法者たちの間でも指折りの武力として名を馳せていたという。
初代サルマリン号は既に存在しない。スターフォックスの強行偵察との交戦で撃沈され、毒の海に沈んでいる。轟沈した船の記録がなぜ現役の脅威データベースに残っているのか。その理由については、記録余話の項に譲る。
機構 ─ MECHANISM
CDF情報戦略本部の調査によれば、船体の装甲にはフィチナの深海圧から船を守る装備に由来する特殊加工が施されており、さらに自前で追加したとみられる光学兵装遮蔽バリアまで搭載されていた。このバリアはレーザーを完全に無効化するという、共和国側の主兵装を明らかに意識した「メタ防御」であり、直接交戦時の異様な粘り強さの正体となっていた。一方で爆雷をはじめとする実体弾攻撃には相応の効果が確認されており、対抗手段が皆無というわけではない。
サルベージ船としての本来の機能も強化が続けられ、深海探査もドリルによる海底掘削もお手の物という、ただの戦闘艦とは一味違う文字どおりの万能艦であった。並走する子機の艦船には、着弾と同時に凄まじい爆発を起こすスマートボム仕込みの砲弾が搭載されており、正面から立ち向かうには、この砲弾を回収あるいは撃ち落とした上で、仕込まれたスマートボムの敵味方識別IDを瞬時に書き換え、そのまま撃ち手へお返しするという高度な戦術が求められたと分析されている。子機や兵装を破壊されても、備え付けの補給用クレーンで即座に引き上げて修理できる継戦能力を誇ったが、裏を返せばこのクレーンこそがサルマリンの急所だったと結論付けられている。
乗組員 ─ CREW
確認できただけで5名の乗組員が搭乗していた。いずれもフィチナの氷下海で漁師をしていた経歴を持つならず者であり、かつて共和国の体制に武装蜂起で抗った「モスクマの三日間」の一派の末裔とみられている。船長はフィチナ出身のアルフォイドの男で、共和国への融和を拒み続けたサルジーナヤ民の流れを汲み、帝国の勃興に新たな活路を見出してその勢力へ与するに至った。
厚かましいことに、船長はフィチナの漁師免許を失効させず律儀に更新し続けており、ゾネスでの稼業が立ち行かなくなればすぐに帰郷して元の漁師へ戻れるよう手配していたようである。「フィチナの漁師は氷床よりも面の皮が厚い」という言い回しを、そのまま人の形にしたような人物と評される。
ゾネスを好き放題に乱開発してヘドロの海へ変えたことについては、憧れのリゾートを台無しにしたという最低限の自覚はあったらしい。ただし日和見がちな部下が優柔不断な返答をしかけると、すかさず帝国の優れたエネルギー資源開発を褒めそやして牽制していたことが記録されており、悪事と分かった上で続ける確信犯、すなわちその反共和国精神は筋金入りだったとみられている。